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絵本

2017年2月25日 (土)

絵本の読み聞かせ 6

保育園のおはなし会のために部屋に入った時、ひとりの男の子が私に、「きょうは、どんな絵本かな~。楽しみだな~。」とにこにこして話しかけてくれました。そして、私が途中でわらべうた遊びからどんどんわらべうたに脱線していきそうになると、「もっと、絵本はないの?」「絵本を読んで!」と元に戻してくれました。その男の子は、いつも、そんな風に絵本を楽しみにしていることを、行動に表します。

先日、お散歩帰りの保育園の4・5才児クラスの子どもたちとばったり出会った時、子どもたちが私に「どこに行くの?」と聞きました。「駅ビルよ。」と応えると、「きっと、本を買いに行くんだよ。」と話しているのが聞こえました。以前、地元の小学校でボランティアで10年間ブックトークをしていたのですが、その時のことを思い出しました。小学生は私の名前は憶えていないけれど、「あっ、ブックトークの人だ!本の人だ!」という声が、自転車で走る私の背中からはいつも聞こえていました。

私がこれまで行ってきたささやかなボランティア活動は、「本を大切なものとして、心をこめて子どもたちに良い本との出会いの場」を作ることです。「良い本」とは、子どもの心の成長に沿い子どもが求めている本当の喜びを得られる質の高い本のことです。楽しみのうちに、本への信頼感やこれから自分で読んでいくであろう本に対しての期待感が育ちます。保育園のおはなし会では、幼い子どもたちが初めて出会う本として、素晴らしい絵本との出会いを橋渡しして行きたいと思います。

絵本の世界は、子どもに身近なようでとても深遠なものです。大人は文を読み始めると、もう絵を読むことはしなくなりますが、絵を読む子どもたちは絵本の隅々まで小さな描写も見逃しはしません。絵が物語っている内容を、子どもたちは私にたくさん教えてくれます。子どもたちは、絵本の先生なのです。絵本を選ぶ時はつい独り善がりになりがちですが、生きた子どもたちの感覚を忘れずに、子どもが本当に求めている絵本の喜びが私の喜びになるような、絵本の読み聞かせをしたいと思います。

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2017年2月18日 (土)

絵本の読み聞かせ 5

 私は自分の子どもや自分より若い人に対して、つい「ええ格好しい」をしてしまいがちな人です。人生の先輩としての思い上がりから意味のないアドバイスを会話に入れてしまっていたのです。人生の後半になった今頃、気がついて反省しています。相手よりもちょっとだけ長く生きている経験の中から言葉をかけてあげるのは、相手が私にアドバイスを求めてきた時だけ!そうでない時もつい善き事をしていると思って偉ぶってしまうのは、はなはだ迷惑な”おせっかい”おばさんのすることでした。これは、絵本の読み聞かせについても言えると思います。私はおはなし会で読む絵本を選んでいる時、「子どもたちのお友だち関係に役立つかもしれない」「教訓が活かせるかもしれない」などと”おせっかい”な気持ちがむくむくと湧いてきていることに気がついて、「危なかった・・・!」と思う瞬間があります。

さて、子どもたちは、絵本の読み聞かせになにを望んでいるのでしょうか?おはなし会に来る子は、経験したことのない世界を体験できる喜びを絵本の読み聞かせに期待しています。今日はどんな魅力的な登場人物と出会えるだろうか?主人公と共に冒険に行って帰るわくわくした時間が今日も過ごせるだろうかと期待して来るのです。子どもたちが読み手を尊敬してくれるとしたら、それは、登場人物別に巧みに声色を変えた読み方でもなく、おせっかいな気持ちの押し付けでもなく、心に残る喜びのひと時を体験させてくれた素晴らしい絵本を選んでくれた読み手に対してです。もちろん、素晴らしい絵本の作者については、言うまでもありませんね。

 心理学で「共感」は、他の人の情動を自分自身が理解するものだそうです。「情動」とは喜び・哀しみ・怒り・恐れ・嫌悪・驚きなどの気持ちの動きとそれに伴う身体の変化を言います。子どもたちは、絵本の主人公がある原因から引き起こす行動、そしてその結果という一連の流れから、主人公に共感して心を大きく動かされます。昔話や絵本の読み聞かせをする時、私は子どもたちは、「いろいろな味の感情を食べて味わっているな」という気がします。そして、その共感こそ子どもたちの成長に関わるもの、子どもたち自身が求めている本当のものだという気がしてなりません。

私は小学校低学年の時、アンデルセンの物語が大好きでした。知っているおはなしなのに、毎回読むたびに大粒の涙を流し、泣きぬれていました。子どもであることの非力さ、虚しさを日々感じていましたし、早く大人になってやりたいことをしたいとも思っていました。絵本やおはなしの主人公が小さくとも勇気や力で世の中を渡って行く話に、子ども心に胸のすく思いがしました。特にアンデルセンの物語はそのふり幅が激しいので、気持ちが大きく動いたのでしょうね。

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2017年2月 5日 (日)

絵本の読み聞かせ 4

今回は、「こすずめのぼうけん」(ルース・エインワース作 石井桃子訳 堀内誠一画 福音館書店 傑作集1977年刊)について。

原作は、「Listen with Mother Tales」ロンドンで出版された本です。翻訳者の石井桃子さんは原作から絵本になる経緯を、「石井桃子全集 7」(岩波書店)に”「こすずめのぼうけん」をめぐって”と題して書かれています。この本は「おはなしをしてー五歳以下の子どものためのお話集」という小さいペーパーバックの本で、石井さんと交流があったイギリスの児童図書館アイリーン・コルウェルさんが1962年に送ってくださったものです。その中で一番好きだったはなしが、「こすずめのぼうけん」だったそうです。

また、作者のルース・エインズワース(1908-1984)は、イギリスでラジオの脚本家をしていました。BBCのListen with Mother という親子向けの番組は、毎週平日のみ1時45分から15分間、歌やナーサリーライム、おはなしなどをしていて、1万人以上の人が聞く人気番組だったそうです。(1950-1982)*ウィキペディアより エインズワースさんの本は、他にも絵本や幼年文学が出版されています。最近、福音館書店でハード化された絵本「きかんしゃホブノブ」もエインズワースの作品です。

石井さんは、「こすずめのぼうけん」について以下のように書かれています。

・話の骨格が立派にできていて、ひとことをゆるがせにしていない・主人公は子どもの知っている世界の範囲に出てくる具体的なもの ・おはなしの最初で主人公が紹介され、主人公の住んでいる状況が短く説明され、すぐに事件が始まる・・・昔話の定石を忠実に踏襲している ・くり返しが多い 繰り返しを楽しむ子どもの成長にも合う ・上手に編み込まれた縄のように物語が進展していき、結末を迎える ・子どものせまい知識と広い空想力がフルに動員される

絵本は文と絵が合わさって物語の情報を子どもたちに届けるものですが、「こすずめのぼうけん」の原作はもともとはラジオの作品だったため、5才以下の子どもが耳で聞いても情景を十分に思い描くことができるように、子どもの気持ちに沿って簡潔に練り上げられていたのです。また、絵本では堀内誠一さんの絵も素敵で、色彩が心地良いです。

私が保育園で「こすずめのぼうけん」を読んだ時、子どもたちはこすずめが遠くへ遠くへと飛ぶことを強く感じているなと思いました。原題は、「THE SPARROW WHO FLEW TOO FAR あまり遠くまでとんでいったすずめ」。冒険ではありますが、やり過ぎて収拾がつかなくなった状況を何とかしようと試みるこすずめの姿は、けなげで応援したくなります。子どもたちは、その世界の中を十分理解ができ、自分のことのように共感もし、想像を楽しむことができます。頑張ったこすずめをおぶって飛ぶ母さんすずめの頼りがいのあること。こすずめは疲れ切った身体と心を、母さんに安心してゆだね安らぐことができました。

* ルース・エインワースと「こすずめのぼうけん」については、瀬田貞二さんも書かれたいます。「幼い子の文学」瀬田貞二著 中央公論社

 「つまり、五歳の人間には五歳なりの、十歳の人間には十歳なりの重大問題があります。それをとらえて、人生のドラマを組み立てること、それが児童文学の問題です。・・・子どもに理解できるのは、はっきりしたすがた、そして、それが動いて、事件をつくることです。」 --「石井桃子全集 7」より

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2016年12月30日 (金)

絵本の読み聞かせ 3 絵本の余韻

 『ちいさなヒッポ』と似たような展開の絵本が日本にもあります。『ちいさなねこ』(石井桃子作 横内襄絵 福音館書店)は、ちいさな子ねこが家を抜け出して冒険に出たものの、大きな犬に追いかけられて高い木のてっぺんに上りますが、犬は木の下から逃げようとしません。子ねこを探していたお母さんねこは子ねこの声を聞きつけ、犬を追い払い子ねこを助けました。

『ちいさなねこ』は、『ちいさなヒッポ』同様幼い子どもの気持ちをひきつけて最後まで離さない優れた絵本です。表紙は子ねこの真正面からの姿が、裏表紙は後ろ姿が同じ大きさで描かれています。以前、保育園の3才児クラスで裏表紙を見せた時のことです。子どもたちは、子ねこの後ろ姿を見て、子ねこが「大きくなってる!」と言いました。絵本を一冊読み終わった後に、子ねこが大きく成長したことを強く感じたに違いありません。

 私は絵本を最後まで読み終わった後にもう一度表紙を見せる時間が、読み聞かせの中で一番好きです。ここにいるみんなで、ついさっきまでいたおはなしの世界が終わりを告げる寂しさを、子どもたちと共有できるからです。私は子どもたちに感想を聞いて、いい時間を台無しにするようなもったいないことはしません。ただ、子どもたちから自然に出てくる言葉はあります。言葉の手持ちが少ない子どもは、気持ちをうまく言い表す能力がまだないけれど、心の中にはしっかりと納まっているものだと、私は自分の子ども時代の経験から思います。ほんの数分、数秒かもしれない短い時間ですが、大人同士で行う読書会のような一冊の本をめぐっての共感がうれしいのです。

絵本を読み終わった後の余韻は、優れた絵本ほど大きいものです。読み終わった後の余韻の感じで、その絵本が子どもの心の成長に沿って子どもの目線で真摯に描かれた絵本かどうかわかる気がします。子どもの前で読むに値すると選んだ絵本が、大人の一方的な子ども感の押し付けの絵本であったことが、見抜けなかった自分にがっかりします。私は大人とは違う子どもの目線と気持ちで作られた絵本で、子どもたちと喜びを分かち合いたいのです。

 家庭で親子で絵本を読む場合は、子どもたちは大好きな人に読んでもらうことがまず最大の楽しみであり、絵本に足りないところはその場で聞いて満足するでしょう。しかし、大勢の子どもたちを前にするおはなし会では、その1冊は非常にもったいない時間だったと思うのです。家庭での絵本の読み聞かせと、おはなし会での絵本の読み聞かせは、個人的な楽しみとみんなで味わう楽しみとの違いがあります。みんなでおはなしの世界をともに旅をしてきたことは、間接的な体験としては格別のものがあると思います。

私は絵本の読み聞かせが成功するには、70%が絵本の選び方、あとは、プログラムの組み方と読み方(よく練習すること!)だと思います。私は絵本を選びプログラムが決まるまでに、結構時間がかかります。(忙しい時は、時間をかけませんが)プログラムが決まれば、後はひたすら読む練習をするだけです。

2016年12月25日 (日)

絵本の読み聞かせ 2  『ちいさなヒッポ』

 『ちいさなヒッポ』(マーシャ・ブラウン作 偕成社)は、ヒッポという名のかばの子が心身ともに大きく成長する絵本です。

川べのパピルスの茂みで生まれたヒッポが、かばの言葉を覚える時がきました。お母さんかばに、「グァオ」が一番大事な言葉だと教えられ、ヒッポは何度も練習しました。ある日、ヒッポはほかのかばたちが寝ている間にひとりで水面に上がってみました。そこで、大きなワニにしっぽを噛みつかれたのです。ワニはヒッポを深い水の底にひっぱりはじめます。ヒッポは、「グッ、グッ、グァオ!たすけて!」と叫びました。お母さんかばがヒッポの叫び声を聞きつけ駆け付けてくれ、ヒッポは助かりました。その晩、ヒッポはお小言をもらいます。「わすれちゃだめ!ちいさなかばは、どんなときでも 『グァオ』ってさけぶのよ!」「グァオ!おかあさん」

 この絵本は、同じくらいの年のヒッポに親近感を覚えた子どもたちが、自分とヒッポを重ねておはなしの世界を楽しめるよう巧みに構成されています。ヒッポのいる場所、産まれてからの様子などが簡潔ながら丁寧に描かれているため、冒険するヒッポの背景がよく理解できます。おはなしの土台がしっかりと作られています。

次に12ページは、「おかあさんのそばに いさえすれば、ヒッポはこわいものなしでした。こんなおおきなかばに ちょっかいをだすやつなんて、どこにいるでしょう?」親子で顔を見合わせるほのぼのとした光景が描かれている左ページと対照的に、右ページの端にはふてぶてしい感じのワニが描かれています。子どもたちは、ここで、ワニが何らかの形でヒッポに関わってくる悪いやつだということを認識します。おはなしの世界を理解する上で助けを必要とする幼い子どもへの道しるべであり、この先の展開を予想してワクワクドキドキするキーとしての役割があります。

言葉を覚えたてのヒッポが、動物たちに声かけをするほのぼのとしたシーンの後、突然ワニに掴まるという恐怖が襲います。生と死をわけた一瞬は、ヒッポの「グァオ!」という叫び声でした。3才児の子どもたちは、ワニに襲われるシーンをすごく怖がりますが、お母さんかばに助けられて心から安心します。危機を脱しただけでなく、子どもたちが大好きな、お母さんという揺るぎない安全基地の存在に包まれる暖かさも感じることでしょう。

絵本をおしまいまで読んでからもう一度見せた表紙を、子どもたちはまじまじとよく見ます。お母さんの大きさと強さを感じ、たくましく成長したヒッポの姿を自分と重ねて喜びを感じます。豊かな感情が、おはなしの余韻として残ります。

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『絵本を語る』マーシャ・ブラウン著 ブック・グローブ社 64p

「・・・子どもは、驚くべき激しさで変化を見せはじめたこれからの世界で、家庭をつくって暮らしていかなくてはなりません。このような未来へ向けて、子どもは全き人格となるために、私たちの世界から何を吸収して成長していくのでしょう。子どもが人格を形成する上で本は力になります。」

2014年12月14日 (日)

絵本「がたんごとんがたんごとん」と黒い汽車

『がたんごとんがたんごとん』(福音館書店)は、1987年に出版されました。この絵本は、出版されて27年も経つのに、まったく内容が色あせることがありません。安西さんは、「頑張らない絵」「頑張った後を残さない絵」を描き、重くなるのを避けていたそうです。カラフルな色彩のカラートーンで描かれた絵本は、子どもたちを絵本の世界に気軽に招き入れてくれます。

この絵本を喜ぶ1才から2才くらいの子どもたちは、積木を汽車や食べ物に見立てる脳の機能が発達する時期です。絵本『がたんごとんがたんごとん』の中にある黒い汽車は、まるで、積木を走らせているようです。子どもの日常の遊びが、絵本の中でも想像力を広げて展開される楽しさがあります。

安西水丸さんは、千葉房総半島の先にある千倉で育ちました。安西さんが雑誌『ガロ』に描かれていた頃の代表作「青い時代」には、『がたんごとんがたんごとん』に出てくる、あのただただ黒い汽車が効果的に使われています。

続編の『がたんごとんがたんごとんざぶんざぶん』は、安西さんが初めてご自分で出版社の持ち込みをされた絵本です。絵本『がたんごとんがたんごとん』が名作となりいろいろな声を聞き、続編を描かれました。2010年に福音館書店の「こどものとも 0.1.2シリーズ」として出されました。例の黒い汽車は、海岸線沿いを走ります。ゆったりとしたリズムで汽車が走る「がたんごとんがたんごとん」に波の「ざぶんざぶん」が付け加えられると、なんとまた心を揺さぶられるような楽しいリズムになるのでしょう!汽車と波の音に贅沢に揺られて着いた先は、海です。みんなで、たくさん食べて、遊んで楽しかった~という余韻が残ります。

絵本『がたんごとんがたんごとん』は、『Chug Chug Train』というタイトルで海外でも出版されています「Chug Chug」というのは、「シュッ シュッ ポッ ポッ」という意味です。海外のこの汽車は、とても軽快に走ります。

残念ながら、作者の安西水丸さんは今年お亡くなりになりました。心から、ご冥福をお祈りします。

参考資料:

『安西水丸』KAWADE夢ムック 河出書房

2014年5月 8日 (木)

絵本の読み聞かせと言葉の獲得

5月5日は、立夏です。窓を開けると、爽やかな大気を通して鳥の声が聞こえます。囀りの中で小鳥が何を語りかけているのか、つい耳を澄ませてしまいます。

『言葉の誕生を科学する』(小川洋子・岡ノ谷一夫著 河出書房)は、お二人の対談形式の本です。人間と同じくらい高度な音の分析力を持つ鳥とクジラは、勉強して歌を身につけていく動物で、人間の次にもし言葉をしゃべり始める動物が現れるとしたら、鳥とクジラが可能性が高いそうです。鳥の囀りは求愛の歌から始まり、他の鳥から学び、新たに歌の組み合わせを作る知的なことをしています。東京大学教授の岡ノ谷先生は、人間もオスが求愛のために歌を歌ったのが始まりではないだろうかと述べられています。言葉ができたのが、14万年前で、書くようになったのはわずか1万年のこと、それ以前の言葉はどんな形だったのでしょうか。

脳はひとつの言葉を身につけると、他の言葉は拒絶して凝り固まってしまうそうです。なんでも受け入れる状態の赤ちゃんはお母さんの言葉を最初の言葉として、取り込みます。これは第一言語です。大人になって英語などの二つ目の言葉を獲得するには、学ばなければならなくなります。それは、日本語をしっかり使うためにそうなっているそうです。

脳の左側が言語を制御していて、言語の生成に関わるブロカ野と近くに関わるウェルニッケ野がシステムとしてまずあり、それは、脳の中で聴覚系と視覚系に隣り合っています。言葉を耳から聞き、視覚で相手を見ながらコミュニケーションをするのです。目で見て言葉を獲得する脳のしくみがそもそも人間には備わっていたのです。

子供は絵本を読んでもらう時には、お母さんや大人の言葉を耳から聞き、絵を読みます。絵本の読み聞かせは言葉の獲得には、とても理に適っていると思いました。

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 出雲の八重垣神社近くの「環水平アーク」2014.05.04

2014年3月17日 (月)

2歳から3歳の絵本 シリーズ4 乗り物の絵本

すっかり、暖かくなりました。シリーズ4は、乗り物の絵本です。

男の子は乗り物が好きなのは、なぜでしょうか?女の子はお母さんの日常を真似して、おままごとをします。男の子は、トーマスや自動車のおもちゃで遊ぶことを好みます。自動車や電車という男の子が興味を持つ分野からの切り口で、生活や暮らしを理解しようとするのではないかと思います。小さいなりに男と女の性差があることに、感心します。

『ちいさいじどうしゃ』ロイス・レンスキー作 福音館書店(「スモールさん」シリーズ)

この絵本は「スモールさん」と呼ばれるおじさんが、ぴかぴかの赤いご自慢の自動車を運転する話です。車庫から出して、上り坂を上って大通りを走り、途中ガソリンスタンドでガソリンを入れます。雨に降られたり、タイヤがパンクしたりというさんざんなめにもあいますが、無事帰り着くことができました。

本は2歳児・3歳児が手にとりやすい小さいサイズで、カラフルな色使いが楽しい絵本です。作者のロイス・レンスキーさん(1893-1974)は、息子に読ませるのにいい乗り物絵本がないので、自分で作成したという話をどこかで読みました。お母さんが、男の子が喜ぶ絵本を探求して作った絵本です、喜ばないはずがありません。

原著は1934年にアメリカで出版されました。この絵本には、時代を反映したゆったりゆっくりした空気が、流れています。それが、年齢の少ない子供が過ごすゆっくりとした時間とぴたりと合っているのです。シリーズは8冊もあって、「スモールさん」は、ヨットにも飛行機にも乗っています。

『しょうぼうじどうしゃじぷた』山本忠敬作 福音館書店

やっぱり、じぷたは是非おすすめしたいです。作者の山本さんの絵はとても緻密に描かれているのに、優しさを感じます。子供は自分が主人公になって絵本の中で体験をしますから、自分が小さくても活躍をする消防自動車になれるこの絵本は、女の子も大好きになります。大人が読んでも、達成感や爽快感を味わえる名作です。

参考資料:『母の友 2月号』特集1 乗り物絵本の引力

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2014年3月 9日 (日)

2歳から3歳の絵本 シリーズ3 空想の世界

『注文の多い料理店』(宮沢賢治著 新潮社)の後書きに、井上ひさしさんがこんな風に書かれています。

「山では人間は謙虚にしていなければならぬ。そこは、動物たちの領分なのだ。では、つめくさと山との間にひろがる野原や林はだれの縄張りかといえば、そここそ人間と動物とが、樹木や草花など植物の立会いの下に、対等の資格で出会うところである。風や光までも含めたありとあらゆるものの共有地、交歓の場なのである。」

入ろうと思えば誰でも招き入れてくれる、異世界と現実世界のちょうど中間の山里に、2歳は住んでいるような気がします。山に住む動物たちも、山里では人間と対等にしゃべり交歓します。

さて、空想の世界を広げる絵本を2冊紹介します。

『てぶくろ』(エウゲーニ・M・ラチョフえ うちだりさこやく 福音館書店)

森を歩いていたおじいさんが手袋を落としていきました。ネズミが、「ここでくらすことにするわ」と言って、中に入りました。「わたしもいれて」とカエルが入りました。その後はウサギ、キツネ、オオカミ、イノシシ、クマが次々に入ります。手袋は満員になりました。

大きくなるはずのない手袋に、たくさんの動物たちが入っているのにまったく違和感を感じないのは、なぜでしょうか?『てぶくろ』は、ウクライナやロシアに伝わる昔話で、『おおきなかぶ』のようにおはなしは積み重なって展開する累積昔話です。どんどん増えてくる動物に緊張の糸が張り詰め、最後に崩れていく面白さがあります。『おおきなかぶ』のわらべうたがロシアにあったように、言葉遊びや昔話として幼い子どもたちに長い間親しまれ、今に伝わっているため、子どもの気持ちを惹きつける力が大きいのでしょう。ラチョフが描く美しい動物の姿が、いっそう作品世界を豊かにしています。

『わたしのワンピース』(にしまきかやこぶん・え こぐま社)

擬音が多くリズミカルな文章、やさしいタッチの絵、文と絵が相乗効果を生んで、楽しい絵本になっています。幼い子どもは、言葉を音楽のように聞くのでしょう。かわいくて、女の子っぽい絵本ですが、この絵本は男の子も好きになります。私の息子は、2歳の時にこの絵本が大好きでした。私も楽しくなって、歌のようにリズムをつけて読み聞かせをしていました。

子どもは、たくさんたくさん絵本を読んでもらっても、一度忘れてしまいます。でも、たいてい中学から大学生の頃に、読んでもらった絵本の記憶がよみがえります。息子は、高校生の時にその時期がきました。一番はじめに思い出したのは、私がでたらめのリズムをつけて歌ったこの絵本の歌でした!子どもは親に絵本を読んでもらうと、とてもうれしくて心地よい。そのうえ、お母さんが楽しくなってニコニコ顔で、気持ちよく読んでくれると、もっともっとうれしい。子どもは、絵本も見ているけれど、お母さんの顔も見ているのですからね。

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2014年3月 7日 (金)

2歳から3歳の絵本 シリーズ2 子どもの共感力

2歳半のりっちゃんは、『はじめてのおつかい』(筒井頼子作 林明子絵 福音館書店)が大好きという話を、姪のⅠちゃんから聞きました。

りっちゃんは、「自分も牛乳を買いに行く。お母さんは坂でせいちゃん(生後2ケ月の赤ちゃん)と待ってて」と言って、「牛乳くださーい」の練習をしているそうですね。新しく始まったお兄ちゃんとしての存在を認めて、さらにひとりでおつかいに行く勇気を出そうとしている・・・りっちゃんが成長しようとする様子はいじらしいし、本当に感心します。

『はじめてのおつかい』は、今のりっちゃんの生活にぴたりと当てはまっていて、現実とおはなしがひとつになっている様子がよくわかります。とてもいい絵本を選びましたね。絵本の中の人物がとてもイキイキとしていて、その臨場感に誰もが引き込まれます。絵本作家の長谷川摂子さんは、『子どもたちと絵本』(福音館書店)の中で、林明子さんについてこんな風に書かれています。「子どもの成長の歴史の中の瞬時の表情を的確に絵の中にとどめる技量をもっている絵本作家ーそれが林明子だ」と書かれています。絵本が、子どもの成長への意欲を後押ししてくれているのでしょう。

読書は、描かれた作品の世界とそれを創造した作者への共感から面白いと感じるものです。自分がよく知っている世界で起こる出来事でなければ、共感することはできません。空想力豊かなファンタジー小説でも、最初は読者に身近な生活のシーンから始まりますよね。りっちゃんのような幼い子にしても、それはまったく同じ事。まずは、自分の子どもがよく知っている物や風景が描かれている絵本を選ぶことです。すると、子どもは絵本の世界にすっと入れます。

子どもの読書の仕方は大人とは違い、自分自身が絵本の世界に入って主人公と一緒になって、主人公の気持ちを味わいます。りっちゃんがトーマスのおもちゃで、男の子がするおままごとのような寸劇みたいな事をしているというのと同じですね。

さて、絵本を紹介しなくては。『ちいさなねこ』(石井桃子作 横内襄絵 福音館書店)です。この絵本は、『ぐりとぐら』と同じ1963年にこどものともで発行され、今年で50周年を迎えます。簡潔で無駄のない石井桃子さんの文章は、声に出して読むととても心地よいリズムがあります。そして、「小さい」「大きい」がキーワードになっています。「小さい」「大きい」は、特に子どもが毎日親からよく聞く言葉でしょう。この言葉にとても感心を示すし、共感するのだと思います。

また、主人公の猫や犬はデフォルメせずにしっかりと描かれているため、絵本の世界で繰り広げられている出来事を、とてもリアルに感じます。最近の絵本は、背景までびっしりと描かれている作品が多いのですが、この絵本はストーリーの進行に子どもが関心を持つ事、必要な事以外は描かれていません。白い紙の余白を背景に、子猫と犬の対決が迫ってくるようです。また、幼い子にとって、絵がぼんやりではなくはっきりと描かれているというのは、認識する上で大切なことなのです。

2歳児は好奇心がいっぱい!母親の隙あらば、あちこち覗いたり探検してみたい年齢です。この絵本を読んでもらうと、自分も猫と一緒になって冒険し、そして成長した感覚を味わうことができますよ。

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