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2018年7月21日 (土)

早や物語系のうたいむかしとは つぶの歌について 1 

 『日本昔話百選』(稲田浩二・和子編著 三省堂)のたにし長者という昔話。

 貧乏な夫婦がどうしても子どもが欲しくて、水神さまに「そこらにいるつぶ(たにし)のようなものでもいいから、どうぞ子どもを授けてください」と願掛けをすると、つぶの息子を授かった。20年たち、つぶの息子は長者どんのところへ年貢米を届けに行き、長者どんの娘を嫁にもらって帰ってきた。そして春、つぶの息子と嫁ごはお薬師様へお参りにでかけた。息子はわけあって鳥居をまたぐことができないから、ひとりで行ってくれと言う。さて、嫁ごが戻ると田の畔にいた婿どのがいない。嫁ごは無事見つかるようにと祈りながら、

    つぶや つぶや わが夫や 今年の春になったれば                                          

    からすという ばか鳥に もっくらもっくら 刺されたか

と気が違ったように田んぼの中を探し歩いた。嫁ごは悲しくて泥田に身を投げて死のうとすると、水のしたたるようないい男が止める。聞けば、男はつぶ息子で水神様に嫁ごがお参りしてくれたおかげで人間の姿になったと言う。それからつぶ息子は、たにしの長者どんと言われて栄えたそうだ。

 『昔話百選』の解説には、「つぶの歌」は早や物語系の「うたいむかし」に独立することがあって興味深いと書かれている。そこが良くわからなかった。稲田浩二さんの『昔話は生きている』(筑摩書房)には、「うたいむかし」とは、東北地方では短い話全体を節づけるものとある。話を旋律を持つ唄のように語るのだ。さらに、わらべうたの歌詞に転用される昔話の一節もある・・・とのこと。

 阿部ヤエさんの『わらべうたで子育て 応用編』(福音館書店)のこぼれ話3「わらべうた」と「昔話」にそれについて説明されているのを見つけた。「わらべうた」と「昔話」は、子どもたちの楽しみの柱であり、つながり合いながら子どもたちを育てていたとのこと。わらべうたの「つぶの歌」は子どもたちが片方の手の指を丸めて「つぶ」を作り、鬼は人差し指でつぶをさして行き、最後のつぶが鬼になる鬼決め遊び。鬼に当たらないようハラハラする気持ちが昔話の嫁ごの気持ちを理解する助けになるとのこと。子どもは複雑な気持ちはなかなか理解できないため、話の登場人物の気持ちになって聞けるように、わらべうたの遊びをつけて教えたのだそうだ。子どもたちは、娘の気持ちを想像し実感できるようになり、話を深く理解するようになる。

 昔の人は人を育てるにはどういう風にすればいいかということをしっかりと考え、それを変えないで伝えてきた。阿部ヤエさんは、うーさぎうさぎの唱歌はわらべうたで歌えば遊べるのに、唱歌で歌うとどうして遊べないのか不思議に思い、わらべうたを教えてもらうつっつ婆に聞いたそうだ。つっつ婆はこう言われた。「昔から伝えられている唄っこは、それぞれ役目があって伝えられている。唄の言葉を取り替えれば昔の人たちの心は伝わらなくなるのと同じように、その唄っこも、節を取り替えたから、歌の役目を果たさなくなったんだ。」

 

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コメント

小野和子さんが、宮城の語り手たちの昔話を聞き取る姿をドキュメンタリーにした「うたうひと」という映画があります。その最後の方で、遠野出身の男の語り手が、「うりこひめこのうた語りをします」と言って、歌いだすのですが、とても面白かったですよ。「むかしむかし あるところに おじいさんと おばあさんが おりました」という言葉に「ミソソソソソ ラソラソラソ ミソーソソソ ソラ―ソソソ ラソラソラ」という感じで節をつけるのです。多分、ふつうの「うりこひめこ」よりは短縮してあって、それが「早物語り」と呼ばれる理由かしら? とも思うのですが、残念ながら確証はなく、写っているのも、導入部分の数分間だけです。仙台の図書館には、きっと「うた語り」を撮影したDVDがあるのではないかと…。行ってみたいですね!!

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