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2015年10月18日 (日)

「岸辺のヤービ」を読んで

『岸辺のヤービ』(梨木香歩作 福音館書店)は、マッドガイド・ウォーターという小さな三日月湖の岸辺で、近くの学校で教師をしているウタドリさんがカヌーを漕いでいた時、カヤネズミくらいの大きさのヤービと出会ったところから、はなしは始まります。

この物語は、私の大好きな『たのしい川べ』(ケネス・グレアム著 岩波書店)のように、水辺の小さな生き物の世界を、上から覗き込むような視点で描かれています。登場人物たちは互いに近づきすぎもせず離れすぎもせず、絶妙の距離感を保っています。その温度感はムーミンを思い出させます。

梨木さんの『水辺にて』(筑摩書房)は、2006年に刊行されました。HP「ダ・ヴィンチニュース」を見ると、梨木さんは10年かけて『岸辺のヤービ』を書かれたそうです。『水辺にて』はちくま文庫で読みましたが、とても印象に残っていました。再度読むと、まさに『岸辺のヤービ』に描かれている川辺の雰囲気がありました。

「・・・水辺は、限りない「無」を感じさせる。・・・そのロープは、生の豊かさ、喜びと、死の昏さ、静けさ、安定で縒り合されている。」(『水辺にて』より)

『岸辺のヤービ』は自然の素晴らしさを豊かに謳いあげ、読者もまた自然の一部であることを教えてくれます。それから、小沢さかえさんの挿絵が素晴らしく良く、作品世界を身近なものに感じさせてくれます。ヤービの可愛いこと!これからの展開が期待されます。次作が早くも楽しみです!

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