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2014年6月28日 (土)

「金のつなのつるべ」と韓国神話

朝鮮のおはなしに「金のつなのつるべ」があります。寂しい山里で留守番をする三姉妹が、主人公です。虎に食べられそうになって天の神様に祈ると、金のつなのつるべが空から降りてきて、姉妹は助けられます。『子守歌と民話』(三弥井書店)では、シンポジウムで金基英さんが語りをされていますし、『韓国神話』(青土社)にもできてます。韓国では比較的ポピュラーな昔話なのかもしれません。

『韓国神話』(金両基著 青土社)に、檀君神話が紹介されています。神の子である桓雄は、穀物を持って地上に降りてきました。すると、同じ洞窟に住んでいた熊と虎が、人間になりたいと申し出ます。桓雄はにんにく20粒とヨモギ一握りを与えて、「これを食べて100日間日の光を見なければ、人の形になるであろう」と言いました。熊は21日目に人間になりましたが、虎はなれませんでした。

この熊女と桓雄の子が檀君王倹で、朝鮮の祖となりました。朝鮮とは、太陽のご加護で明るく輝く国という意味です。紀元前2000年のことです。檀君はこの世の務めを終えると、山の神になりました。虎は山の神の守護獣であり、従者でもあり、時には山の神そのものにもなりました。虎の恐ろしさは人間にとっては畏怖の対象でもありますから、動物神として信仰されたことと思います。

韓国の昔話に登場する虎は、恐ろしさとユーモアのふたつの面を持った動物として描かれています。人間に化けて姿を現す虎ですが、『ネギをうえた人』(岩波書店)の「金剛山のトラ」は化け方が中途半場、もじゃもじゃした手が見えて見破られます。「金のつなのつるべ」の虎も化け下手で、人間になることができなかった檀君神話の影響だろうか?とも考えます。

韓国の神話では、天からひもが垂れて地面に降りてくるものがあります。天と地が木や縄、光、雲などを通路としてつながっていると、考えられていたようです。また、太陽信仰の韓国では、金色または白色は太陽や神の象徴でした。

雲の上から金のつなのつるべが降りてくるおはなし、「金のつなのつるべ」は、韓国の神話に近い昔話だということがわかりました。三人の娘は、天に上って太陽・月・星となって世界中を照らします。一方、虎も神様から腐れづなのつるべを降ろしてもらいます。けれども、空の半分もいかないうちに、つなが切れてまっさかさまに黍畑の上に落ちてしまいました。

参考資料:『韓国神話』 金両基著 青土社
      『ネギをうえた人』 金素雲編 岩波書店

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コメント

今、山姥の出てくる昔話をいろいろ調べているのですが、日本の「天道さん金鎖」が「金のつなのつるべ」に本当によく似ていて驚きます。西国に多く分布しているので、やはり韓国あたりから伝わったのかもしれませんね。「金のつな」が韓国の神話に近い話だとはじめて知りました。

くにのはじまりを語っている神話はもちろん、昔話も発祥の地の風土や歴史と深く関係があるのでしょうけれど、一方では人の心をとらえる物語のモチーフは、時空をものともせずに広がっていく…ほんとうにおもしろいですね。

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